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IT活用 働き方改革/
生産性向上の「両輪」に

「BIM」注目集める/
PC上で立体モデル/
建築支える技術、普及促進

近年、幅広い分野でIT活用が進む中、建築業界で注目を集めているのが「BIM」活用だ。BIMはBuilding Information Modelingの略で、パソコン上において使用する建材や設備の情報が入ったパーツを組み立て、現実と同じ建築物の立体モデル(BIMモデル)を構築する建築設計の手法。BIMモデルには、各建材のサイズなどの形状情報はもちろん、素材や組み立てに必要な工程などの属性情報も盛り込むことができ、一つのBIMモデルから、平面、立面、断面図などの図面や、建物の完成予想図であるCGパース、建築に必要な材料の数量の集計など、さまざまなデータを抽出できる。

岐阜新聞 2021年3月13日掲載

 

従来、建築物の設計では、2次元図面を作成し、3次元の形状に組み立ててCGなどを作成する3次元CADが主流だった。しかし、2次元図面は専門知識を持つ人材しか読み解きにくく、設計者と施主、施工者の間で、完成イメージが共有しづらいなどの課題があった。その点、BIMでは立体的な構造が視覚的に把握でき、意思疎通がスムーズになる。また修正があった際にも、BIMモデルを修正すればすべての情報が自動で連携するため、各図面の修正の手間がなくなり、図面の不整合やミスも低減される。こうした点から、BIMは業務効率化や生産性向上を図り、今後の建築を支える技術として、普及が期待されている。
 岐阜県では、ぎふ建築担い手育成支援センターにおいて令和元年度より建築設計事務所や施工会社を対象にBIMの講習会を開催。令和3年度には同講習会の実施のほか、建築を学ぶ工業高校生向けにBIM体験講座を予定するなど、BIMの普及促進に取り組む。

BIM駆使、岐阜市の「アーキ・キューブ」/
完成イメージ共有、構造など把握/
施主との合意形成若手活用にも効果

同社では、BIMモデルを図面やパースの作成だけでなく、さまざまなシミュレーションに活用。例えば、照明器具の性能や日照を入力し、実際の照度を示しながら照明計画を行ったり、周囲の標高データなどから、どの窓からどんな風景が眺められるかを割り出したりと、施主が完成後の暮らしをイメージできるサービスを展開している。BIMモデルから360度のVR映像を作成し、VRカメラを装着して完成した空間の中にいるかのような体験をしてもらうことも可能だ。

アーキ・キューブではさらなる活用を目指し、独自のBIMマニュアルを作成し、18年には全社員がBIMシステムを使用した設計を習得した。設計部の佐々木美幸さんは、「BIMはお客さまとイメージを共有できるだけでなく、その場で修正内容を入力・反映させて確認してもらえるため、打ち合わせ回数が減り、作業スピードが向上した」とその効果を語る。大石所長も「これまで経験や勘で行っていた作業も、BIMを活用すれば経験年数を問わず誰でも同じ目線で議論ができる。若い世代はこうした技術の習得も早く、活躍の場が広がると考えている」と、新たな技術を用いた若手人材の活用にも意欲を見せる。

本記事は、(株)岐阜新聞社の許諾を得た上で掲載しています。