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これからはデジタル
ツールが主流に。
ゆとり世代が
業界を変える。

大日本土木株式会社
建築部建築グループ

纐纈 一也 さん

2009年入社。一級建築士。省力化に向けた取り組みを行う生産設計グループに所属し、建築現場のIT化を推進。生産性の向上や働きやすさの改善などに力を注いでいる。

※取材・撮影:2018年12月

3次元のデジタルモデルを活用し、 作業の効率化に取り組んでいます。

2年ほど前から「施工BIM」を本格採用

現在、建築現場の省力化の取り組みの一環として、国土交通省が推進する「BIM」に取り組んでいます。これは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の略で、コンピュータ上に3次元の建物のデジタルモデルを作成し、不具合などを事前に洗い出したり、数量の拾い出しや図面の作成などを効率的に行ったりする業務プロセスのこと。設計においては以前からBIMに取り組んでいましたが、施工BIMはいわばその施工版で、当社でも2年ほど前から本格的に導入しました。

立体モデルだからお互いの理解が早い

3次元モデルを使うことのメリットは、協力会社やお客様と、立体的なモデルで直感的に打ち合わせができ、お互いの齟齬なく作業を進めていけることです。また、モデルから数量が拾えるというも大きな利点です。例えば、コンクリートがどれだけ必要なのか、壁はどれぐらいの面積になるかといったことが、モデルのデータから瞬時に分かります。さらに、3次元の図面を切り出してそのまま2次元の施工図を作ることもでき、図面を書く手間を省くことにもつながります。

作業量が削減できたという声も

当社ではまだ取り組みを始めたばかりで、実際にBIMを活用できるのは中日本支社では私一人という状況ですが、先行導入しているゼネコンの担当者さんの話では、以前に比べて作業量が削減できたそうです。将来的にはこの仕組みが間違いなく主流になっていくでしょうし、そうなれば、建築現場の省力化に大きく貢献していくと実感しています。

ITに抵抗がない若い世代こそ 省力化の原動力になると思います。

紙の資料をなくすためにiPadを導入

また、当社ではすべての社員にiPadを支給しています。これにより、従来であればプリントアウトしていた図面などの紙の資料が大幅に減りました。紙代などのコストが減り、環境に優しいだけでなく、大量の資料を持ち運ぶ手間がなくなり、省力化の点でも大きなメリットを感じています。iPadで現場の写真を撮影できるように電子黒板などのアプリもインストールされており、現場での煩わしい作業もかなり軽減することができました。

急速に進みつつある建築業界のIT化

私は学生時代から3次元CADを使っていましたが、入社当初はまだ建築現場に導入されることはなく、お客様に説明をする際、趣味的に活用する程度でした。ところが、ここ数年は当たり前のような存在になりつつあり、急激にデジタル化が進んできているなと実感しています。建築の世界は、自動車や家電のように同じものを大量生産する仕事ではありません。そのため、デジタル化や自動化がかなり遅れてきたと思いますが、慢性的な人手不足などを背景に、いよいよ業界全体が変わり始めたな、という印象を受けています。

ゆとり世代こそ業界を変える力になる

私も「ゆとり世代」と言われる人間のひとりですが、私たちより上の世代の人たちには、体育会系の文化が色濃く残っていると感じます。その点、何事も効率よく進め、プライベートも大切にする人が多い「ゆとり世代」こそ、これまでの業界の働き方を変えていく存在だと思っています。子どもの頃からデジタルツールが当たり前にある世代だからこそ、3次元モデルやiPadの活用にも、全く抵抗感なく取り組んでもらえるはず。建築業界を変えていくんだという意気込みで頑張っていただけるとうれしいですね。