ここから本文です

自分が描いた
1本の線から
建物ができるのが
何よりの喜び。

Profile

金沢大学工学部卒。41歳。大工だった祖父の影響で、建築の仕事に興味を持つ。大学時代に土木や建築について学び、卒業後は有限会社荒井建築設計事務所に就職。現在は子育てと両立しながら、岐阜県・郡上市などの公共施設から一般住宅まで幅広い建築物を手掛ける。

TOMOYO NONODA

有限会社荒井建築設計事務所
一級建築士
建築積算士
測量士補

野々田 知代さん
※取材・撮影:2021年11月

INTERVIEW MOVIE

祖父の現場を見て、建築の魅力に目覚める。

なぜ建築士を目指したのですか?

私の母方の祖父が大工だったため、小さな頃から建築現場をよく見ていて、ずっと建築の仕事に親しみを感じていたのが一番の理由です。プログラミングといった形の見えないものよりも、手触り感のあるものを作り上げることに興味があり、建築士の道を選びました。私は今も昔も変わらず、よくお菓子作りをしています。お菓子は、まず材料を集め、きちんと分量を計量しないとうまく作ることができません。大雑把に進めることができない点が、建築の仕事にも通じているかな、と思いますね。

どのような勉強や過程を経て入職したのですか?

高校時代の進路選択のタイミングで、地理の授業に「都市計画」の話が出てきて、「街づくりに携われるなんて面白そうだ」と感じ、土木について学べる金沢大学工学部に進学しました。卒業後に2年間の実務を経験すれば1級建築士の受験資格が得られたことから、土木だけでなく建築の授業も併せて受講してみたところ、あらためて建築の面白さに気付き、その後は建築士になろうと考えるようになりました。学生時代には、全国各地にある有名な建築物などを見て回りましたね。

どうして現在の就職先を選んだのですか?

現在勤めている有限会社荒井建築設計事務所に就職したのは、ハローワークで求人を見つけたのがきっかけです。私が大学を卒業した頃は、いわゆる就職氷河期で、自分が思い描いたような企業に就職することができず、とりあえず地元に帰って別の道に進むことも考えていました。その後は1年ほどアルバイトをしていたのですが、せっかく学んだ知識を活かして働きたいと改めて思うようになり、職探しを始めたところ、今の会社に巡り合いました。「2年の実務経験があれば1級建築士も受験できるし、うちの事務所で働いてみたら?」と声をかけていただき、現在は働き始めて17年目になります。

子育てをしながら、ずっと続けられる仕事。

建築士の魅力はどんな点ですか?

建築士の仕事には、設計図面の作成はもちろん、材料をすべて拾い出して金額を出す積算業務や、建物を作るために必要となる建築確認申請の書類作成や提出など、さまざまな業務があります。私の会社では、設計担当者が直接お客様と打ち合わせをするのが特長です。いろいろな話をしながら要望をお聞きし、それを基にして図面を作成してご提案します。大手企業とは違い、お客様と直接打ち合わせをしながら設計していける点が魅力です。

現在は一般住宅の設計を年1~2件ほど担当するほか、岐阜県や郡上市の公共施設なども数多く手掛けています。郡上市内では、郡上市庁舎や市内の中学校などに携わりました。自分が書いた1本の線から建物ができあがる喜びは、何物にも代えがたいものがありますね。

実際に働いてみて感じることは?

建築士は、ただ図面を描くだけの仕事ではありません。現場にこまめに足を運び、現場作業を行う職人さんたちと一緒に建築物を作り上げていく仕事です。コミュニケーションを取らなければ決していいものはできません。周りとのすり合わせが大事になる仕事だと感じますね。

今は3人の子どもを育てながら、建築士の仕事を続けています。会社の計らいもあり、コロナ禍以前から在宅ワークを認めてもらい、9時から16時までの時短勤務で働いています。子どもと向き合う時間を確保しながら、正社員のままずっと仕事ができるのがありがたいです。締め切りがある仕事ですから、子どもが寝静まった後に作業をすることもありますが、自分のペースで業務を調整しやすいのが建築士のいいところだと思います。

INTERVIEW先輩インタビュー