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育児に専念した後でも
仕事に復帰しやすい。
1級建築士の資格は、
一生の強みにできる。

Profile

東海工業専門学校卒。42歳。設計事務所を経営する父の影響で、幼い頃から建築士の道を志す。専門学校卒業後は、名古屋市内の設計事務所で経験を積み、その後、父の事務所に入社。現在は子育てをしながら、工場や事務所、スーパーの店舗など、幅広い物件の設計に携わっている。

MEGUMI FUJII

(株)ウカイ設計
一級建築士

藤井 恵さん
※取材・撮影:2021年11月

INTERVIEW MOVIE

広告の裏に描いた「理想の間取り」が原点。

なぜ建築士を目指したのですか?

建築士である父の影響が大きいです。私が6歳の頃、父がそれまで勤めていた設計事務所を辞めて独立し、設計図面を間近で見る機会ができたことで、どんどんと興味が湧いていきました。広告の裏に自分が住みたい家の間取りを描いては、「この家は本当に建てられる?」と父によく聞いていましたね。小さな子どもが描いた図面にも関わらず、父はちゃんと真面目に見てくれて、ほめてくれたり、時にはアドバイスをくれたりしました。自分が描いた建物が現実になることを想像して描くのがとても楽しくて、この頃からずっと「私は建築士になる!」と心に決めていました。

どのような勉強や過程を経て入職したのですか?

高校を卒業した後、名古屋にある建築の専門学校に進学し、2年間しっかり専門分野を学びました。そして卒業後は、名古屋市内にある設計事務所に3年ほど勤めました。始発に乗って出社し、終電で帰るという毎日が続きましたが、学校では得られない学びが本当にたくさんあり、1日があっという間に過ぎていきましたね。線の1本1本にきちんと意味があり、すべては建物を完成させるためにあることを学ばせてもらいました。

1級建築士を取得するためにどんな勉強をしましたか?

名古屋の設計事務所でさまざまな経験を積んだ後、父が経営する設計事務所に入社しました。そして、入社して1年ほど経った頃に、仕事をしながら資格取得のための学校に通い、26歳の時に一級建築士を受験して免許を取得しました。設計の仕事を始めてすでに22年になりますが、勉強することはまだまだたくさんあります。これからもいろんな建築物を設計できるように幅広い知識を身に付けていきたいです。

積み重ねた経験が「力強いお守り」になる。

実際に働いてみて感じることは?

正直、幼い頃に想像していた世界とは違っていました。建物を設計するということは、責任も伴います。お客様の要望やコスト、納期のことはもちろん、法適合や環境への配慮、構造や納まり、新しい工法や建材などの勉強、工事のチェックや立ち合い、検査など、考えること、やるべきことが本当にたくさんあります。設計の仕事を始めたばかりの頃は、イメージとのギャップに戸惑い、つらい時期もありました。幅広い知識、思考力、発想力、調整力、体力、忍耐が必要な仕事だと思います。

ただ、積み重ねてきた経験は、自信を持って仕事を進めるための「力強いお守り」になります。今は、課題を1つ1つクリアできた先に良い設計が生まれ、お客様に喜んでいただけることにやりがいを感じています。

子育てとの両立についてはどうですか?

私は6歳と4歳の子どもを育てながら仕事をしています。出産後の1年はお休みしましたが、それ以外は、なんとか子育てと両立できています。幼稚園がお休みの時や、幼稚園から帰ってきた後は、母に協力してもらい、子どもの面倒を見てもらっています。

子育てとの両立ができるかどうかは、やり方次第です。もちろん、犠牲になる部分もあります。設計の仕事は長期にわたりますし、複数の物件を抱え、仕事が重なれば休日や夜間に働かないといけないこともあります。子どもが産まれてからは、子育てとの両立がいかに大変であるかを痛感していますが、それでも、子どもが自立するまでのほんのしばらくの間のことです。自分が落ち着いてじっくり設計を楽しむための、一時的なステップだと考えています。建築士という資格があるのは、何よりの強みです。逆に子育て期間中は子育てに専念し、子どもが自立してからでも復帰がしやすいのがこの仕事の魅力だと思いますね。

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